スーパーインクジェット技術を活用し、微細な電子回路を高精度に形成する技術の事例です。本研究では、極めて小さなインク滴を精密に制御することで、有機半導体上に電極を直接印刷し、微細な構造を持つ有機トランジスタの作製に成功しました。さらに、低い電圧で動作するトランジスタや電子回路を実現し、消費電力の低減にもつながることを示しました。
この技術は、従来の複雑な微細加工工程を簡略化できる可能性があり、製造工程の効率化やコスト削減への貢献が期待されます。また、インクジェット印刷の特長を生かすことで、柔軟な基板や大面積への展開も視野に入ります。将来的には、フレキシブルディスプレイや各種センサーなど、次世代の電子デバイスを実現するための重要な技術として期待されています。
参考文献:T. Sekitani et al., “Organic transistors manufactured using inkjet technology with subfemtoliter accuracy,” Proceedings of the National Academy of Sciences, 105(13), 4976–4980 (2008).
インクジェット技術を活用し、極めて細い銅配線を高精度に形成する技術の事例です。本研究では、微小な液滴を精密に吐出できる「スーパーインクジェット」と、酸素濃度を極めて低く制御する「酸素ポンプ」を組み合わせることで、線幅・間隔ともに5マイクロメートル(0.005ミリメートル)の微細な銅配線を形成することに成功しました。さらに、銅ナノ粒子を含むインクを加熱処理することで、電気を通しやすい配線を実現しました。
この技術の特長は、従来のようにマスクなどを用いた複雑な工程に頼らず、必要な場所に直接配線を描ける点にあります。これにより、微細な配線の形成や製造工程の簡略化が期待されます。将来的には、電子部品の小型化や高密度化に加え、フレキシブルデバイスなどの次世代電子機器を支える製造技術としての応用が期待されています。
参考文献:N. Shirakawa et al., “Fine-Pitch Copper Wiring Formed with Super-Inkjet and Oxygen Pump,” Japanese Journal of Applied Physics, 52, 05DB19 (2013).


本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、柔軟なフィルム上に組み込んだ薄型半導体チップと電気的につなぐための、垂直方向の配線を形成しました。この技術の特長は、微細な穴の中にも導電性材料を精密に印刷できる点にあります。印刷方法による配線の形成速度や電気的な性能を比較するとともに、基板を曲げたときにも半導体チップと配線が安定して動作するかを評価しました。
印刷によって必要な場所に材料を直接配置できるため、材料の無駄を減らし、製造工程の簡略化や低コスト化につながる可能性があります。将来的には、ウェアラブル機器やロボット用センサー、IoT機器など、小型化と柔軟性が求められる電子機器への応用が期待されます。
参考文献:S. Ma, A. S. Dahiya, A. Christou, A. Zumeit, and R. Dahiya, “High-Resolution Printing-Based Vertical Interconnects for Flexible Hybrid Electronics,” Advanced Materials Technologies, 9(17), 2400130 (2024).
スーパーインクジェット技術を活用し、基板上に直接、立体構造を持つ超小型電池を形成する技術の事例です。本研究では、銀電極をインクジェット印刷によって形成し、電極表面に柱状の構造を設けることで、亜鉛と銀を用いた3次元マイクロ電池を作製しました。
この技術の特長は、電極を平面的に形成するだけでなく、立体的な構造を精密に作り込める点にあります。柱状構造を設けた電極では、平面電極と比較して電池容量が最大60%向上することが示されました。また、必要な場所に材料を直接印刷することで、従来の微細加工技術に比べて材料の無駄や製造時のエネルギー消費を抑えられる可能性があります。
本研究は、インクジェット技術によって電極の形状を自在に設計し、限られたスペースで電池性能を高める可能性を示したものです。将来的には、小型電子機器やセンサーなどに組み込む超小型電源の実現に向けた応用が期待されます。
参考文献:C. C. Ho et al., “A super ink jet printed zinc-silver 3D microbattery,” Journal of Micromechanics and Microengineering, 19(9), 094013 (2009).

本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、基板上に微細な穴の金属配線を形成する技術が検討されています。従来の方法では加工が難しい高密度の貫通電極(TSV)に対して、金属インクを精密に吐出することで、穴の内側に金属を形成することを目指しました。
この技術の特長は、金属インクを必要な場所に細かく塗布できる点にあります。これにより、微細な穴の内部にも金属を形成でき、電子部品の小型化や高密度化につながる可能性があります。また、必要な量の材料を狙った場所に直接塗布するため、材料の無駄を減らせることも期待されます。
本研究は、スーパーインクジェット技術によって、微細な構造の内部にも金属を形成できる可能性を示したものです。将来的には、半導体や電子部品の高密度化、小型化に向けた応用が期待されます。
参考文献:B. Khorramdel et al., “Metallization of High Density TSVs using Super Inkjet Technology,” 2015 IEEE 65th Electronic Components and Technology Conference (ECTC), pp. 41–45 (2015).


本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、表面弾性波(SAW)デバイスを作製しました。表面弾性波デバイスとは、固体の表面を伝わる振動を利用して、電気信号を処理する電子部品です。圧電材料であるニオブ酸リチウム(LiNbO₃)の基板上に、白金インクを精密に印刷することで、電気信号を表面の振動に変換する微細な電極を形成しました。
この技術の特長は、微細な電極を基板上に直接印刷できる点にあります。本研究では、幅約10マイクロメートルの電極を形成し、約95.6 MHz(メガヘルツ)の周波数で動作するデバイスを実現しました。従来のフォトリソグラフィなどの微細加工技術と比べて、製造工程の簡略化や試作品の迅速な作製が期待できます。また、材料やエネルギーの使用量を抑えられる可能性もあります。将来的には、無線通信機器やセンサー、信号処理デバイスなどへの応用が期待されます。
参考文献:B. Kirbus et al., “Additive manufacturing of 96 MHz surface acoustic wave devices by means of superfine inkjet printing,” Smart Materials and Structures, 27(7), 075042 (2018).
本研究では、人間の皮膚のように温度を感じ、熱さや冷たさに反応する電子皮膚(電子スキン)を開発しました。温度に反応する酸化バナジウムの極細の針状材料を配置し、スーパーインクジェット技術を用いて、電極や配線などを微細に形成しました。これにより、温度を検知する小型センサーを柔軟な基板上に作製しました。
この技術の特長は、温度センサーを小型化しながら、素早く温度変化を検知できる点にあります。センサーの大きさは約700平方マイクロメートルで、温度変化に約1秒で応答します。また、曲げたりねじったりする動作を1万回繰り返しても耐えられる柔軟性と耐久性を備えています。さらに、センサーで得た温度情報をもとに、熱いものに触れた際に手を引くような反射動作を、ロボットの手で実証しました。将来的には、ロボットの安全性向上や義手などの触覚機能、温度を感じ取るウェアラブルセンサーなどへの応用が期待されます。
参考文献:J. Neto et al., “Skin-Inspired Thermoreceptors-Based Electronic Skin for Biomimicking Thermal Pain Reflexes,” Advanced Science, 9(27), 2201525 (2022).
本研究では、スーパーインクジェット印刷技術を用いて、カーボンナノチューブ(CNT)を基板上の狙った場所に配置し、微小なトランジスタを作製しました。カーボンナノチューブは、非常に細い筒状の炭素材料で、電気を流す性質に優れていることから、次世代の小型電子デバイスへの応用が期待されています。本研究では、CNTを液体中に分散させたインクを作り、シリコン基板上に形成した電極の間に印刷することで、電流が流れる経路を形成しました。
この技術の特長は、CNTを大量に膜状に塗布するのではなく、少数の束を微細な電極間に配置できる点にあります。研究では、電極間の幅が数百ナノメートルから約1マイクロメートルという非常に狭い領域にCNTを印刷し、トランジスタとして電流が流れることを確認しました。また、原子間力顕微鏡(AFM)を用いてCNTの位置や形状を調整する方法も示されました。将来的には、次世代トランジスタや高集積電子回路、小型センサーなどへの応用が期待されます。
参考文献:R. S. Singh et al., “Precise Deposition of Carbon Nanotube Bundles by Inkjet-Printing on a CMOS-Compatible Platform,” Materials, 15(14), 4935 (2022).
本研究では、スーパーインクジェット印刷技術を用いて、テラヘルツ波をほとんど反射せずに通しながら、波の進み方を制御できる薄型の人工材料(メタサーフェス)を作製しました。厚さわずか5マイクロメートルのポリイミドフィルムの表裏に、銀ペーストインクで微細な金属パターンを印刷することで、光学的な性質を人工的に調整した構造を実現しました。
この技術の特長は、材料の屈折率を高く保ちながら、電磁波の反射を大幅に抑えられる点にあります。実験では、周波数2.97テラヘルツにおいて、屈折率約5.88、反射率わずか1.3%を達成しました。また、一般的な金属よりも電気を通しにくい銀ペーストを用いても、このような性能を実現できることが示されました。将来的には、次世代6G通信やテラヘルツイメージング、薄型レンズなどへの応用が期待されます。
参考文献:H. Asada, K. Endo, and T. Suzuki, “Reflectionless metasurface with high refractive index in the terahertz waveband,” Optics Express, 29(10), 14513–14524 (2021).

本研究では、スーパーインクジェット技術と光を利用して、高分子フィルムの表面に微細な溝やくぼみを形成する技術が開発されました。まず、液晶の性質を持つ高分子フィルムの表面に、インクジェット印刷で別の高分子材料を細かく塗布します。その後、紫外線を照射することで、フィルムの表面を変形させることに成功しました。
この技術の特長は、インクで描いたパターンを目印として、光によってフィルム表面の形状を制御できる点にあります。紫外線を当てると、フィルムの表面で材料が移動し、溝やくぼみが形成されます。また、印刷したインクの体積に対して、移動する高分子材料の体積は最大で約440倍に達しました。少量のインクで大きな表面形状の変化を生み出せることが示されています。将来的には、微小な流路を持つマイクロ流体デバイスや、光を効率よく取り出すディスプレイ部品、光を制御するデバイスなどへの応用が期待されます。
参考文献:I. Kitamura, K. Oishi, M. Hara, S. Nagano, and T. Seki, “Photoinitiated Marangoni flow morphing in a liquid crystalline polymer film directed by superinkjet printing patterns,” Scientific Reports, 9, 2556 (2019).

本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、3Dプリンターで作製した微小なレンズに、光を通さない部分や光の通り道を制限する開口部を組み込む技術の事例です。微小なレンズやその周囲の構造を3Dプリンターで作製し、内部に設けた細い空間に金属ナノインクを注入することで、光の進み方を制御する構造を形成しました。
この技術の特長は、3Dプリンターで作った構造に対して、位置を細かく合わせる作業を行わずに、光を通さない部分を組み込める点にあります。通常、レンズの周囲の部品まで透明だと、不要な光が内部に入り込み、画像がぼやけたり、明暗の差が小さくなったりすることがあります。そこで、光を遮る部分を設けることで、不要な光の侵入を抑え、画像のコントラストを向上させました。また、開口部の大きさや形状を工夫することで、光学部品の機能を高められることも示されました。将来的には、小型カメラや医療用の光学機器、センサーなど、限られたスペースで高い光学性能が求められる機器への応用が期待されます。
参考文献:Andrea Toulouse, Simon Thiele, Harald Giessen, and Alois M. Herkommer, “Alignment-free integration of apertures and nontransparent hulls into 3D-printed micro-optics,” Optics Letters, 43(21), 5283–5286 (2018).


本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、光を閉じ込めるための微細な構造(ナノ共振器)を作製する技術の事例です。まず、光を制御するための微細な穴が規則的に並んだ「フォトニック結晶」を基板として用意し、その表面に有機材料を含むインクを高精細に印刷することで、光を特定の場所に閉じ込める構造を形成しました。
この技術の特長は、基板そのものを作り直すことなく、表面にインクを印刷するだけで光学的な機能を追加できる点にあります。また、インクを重ねて印刷する回数を変えることで、光が共振する波長を調整できることが示されました。さらに、複数のナノ共振器を近接して形成することで、共振器同士の相互作用も制御できます。作製した構造では、光を強く閉じ込める性能を示す指標であるQ値が約7,000〜10,000に達しました。将来的には、光を利用した高感度センサー、小型レーザー、光通信回路などへの応用が期待されます。
参考文献:F. S. F. Brossard et al., “Inkjet-Printed Nanocavities on a Photonic Crystal Template,” Advanced Materials, 29(47), 1704425 (2017).

本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、テラヘルツ波を制御するための微細な金属構造(メタマテリアル)を作製しました。メタマテリアルとは、金属などの材料を特定の形状に配置することで、自然界の物質とは異なる電磁波の性質を生み出す人工材料です。
この技術の特長は、微細な金属パターンを基板上に直接印刷できる点にあります。スーパーインクジェット技術によって、微小な構造を精密に形成することで、テラヘルツ波の反射や透過などの性質を制御するための構造を作製できます。また、必要な場所に材料を直接塗布するため、従来の加工方法に比べて工程の簡略化や材料の無駄の削減につながる可能性があります。
実際に、銀ペーストを用いて金属膜を形成し、テラヘルツ波の制御に用いる金属格子や、リング状の金属パターンを印刷することに成功しました。さらに、作製した構造の電磁波に対する応答が、設計した構造から予測される性質と一致することが確認されました。将来的には、テラヘルツ波を利用したセンサーや通信機器、電磁波制御デバイスなどへの応用が期待されます。
参考文献:K. Takano et al., “Fabrication of Terahertz Planar Metamaterials Using a Super-Fine Ink-Jet Printer,” Applied Physics Express, 3(1), 016701 (2010).


本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、光る性質を持つペロブスカイトナノ結晶を、光を閉じ込める微小な構造(ナノ光共振器)の上に直接印刷する技術が実証されました。具体的には、緑色に発光する性質を持つCsPbBr₃ナノ結晶を用い、シリコン窒化膜で作られたナノ光共振器の上に、微細なパターンを形成しました。
この技術の特長は、発光材料を必要な場所に、マイクロメートルよりも細かい精度で配置できる点にあります。また、印刷後のナノ結晶を電子顕微鏡で観察し、印刷によって結晶の構造が大きく損なわれていないことを確認しました。さらに、光の発光特性を調べることで、ナノ結晶と光共振器が相互に作用することも示されました。将来的には、小型レーザーや高感度センサー、光通信デバイスなど、発光材料と微細な光学構造を組み合わせる必要がある機器への応用が期待されます。
参考文献:T. A. Cohen et al., “Direct Patterning of Perovskite Nanocrystals on Nanophotonic Cavities with Electrohydrodynamic Inkjet Printing,” Nano Letters, 22(14), 5681–5688 (2022).
本研究では、スーパーインクジェット印刷技術を用いて、赤外線を集めるための微小なレンズを作製しました。酸化チタン(TiO₂)の前駆体を含む特殊なインクを基板上に直接印刷し、微細な構造を形成することで、光を制御するレンズを実現しました。
この技術の特長は、従来のインクジェット印刷では難しい、1マイクロメートル以下の非常に細かな構造を形成できる点にあります。また、レンズの材料そのものを直接印刷するため、型や余分な加工工程を減らせる可能性があります。実際に作製したレンズでは、波長5マイクロメートルの中赤外線を集められることが確認されました。将来的には、赤外線カメラやガス検知センサー、熱を利用した検査装置など、小型で高性能な光学機器への応用が期待されます。
参考文献:H. J. C. Brunner, J. Whitehead, R. Gibson, J. R. Hendrickson, A. Majumdar, and J. D. MacKenzie, “Fully Additive Electrohydrodynamic Inkjet-Printed TiO₂ Mid-Infrared Meta-Optics,” Advanced Materials Interfaces, 9(19), 2200149 (2022).
本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、半導体の微小な粒子である量子ドットを1個ずつ狙った場所に配置する技術の事例です。量子ドットは、粒子の大きさなどによって光の吸収や発光の性質が変わる微小な結晶です。本研究では、SPEED(Single Particle Extraction Electrohydrodynamics)と呼ばれる印刷方法を用いて、量子ドットを選択的に取り出し、基板上の指定した位置に印刷しました。
この技術の特長は、従来の印刷方法では難しかった、ナノメートルサイズの粒子を1個ずつ選んで配置できる点にあります。インクに含まれる粒子を電気の力で取り出すことで、極めて少量の材料を使いながら、狙った位置に量子ドットを配置できます。また、光を閉じ込める微細な構造と量子ドットを組み合わせ、印刷した量子ドットから単一光子が放出されることも確認されました。将来的には、量子通信や量子コンピューターに用いる光源、高感度センサー、次世代の光回路などへの応用が期待されます。
参考文献:G. G. Guymon et al., “Deterministic Printing of Single Quantum Dots,” Advanced Materials, 38(3), e13707 (2026).
本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、高解像度の有機EL(OLED)ディスプレイを作製しました。ノズルからインクを細かく吐き出すことで、発光材料を基板上に精密に印刷し、微細な画素を形成しました。
この技術の特長は、非常に細い線を印刷できる点にあります。本研究では、直径1.5 µmのノズルを使用し、幅2 µm未満の線を形成することに成功しました。さらに、緑色に発光するパッシブマトリクス型OLEDディスプレイを作製し、1インチあたり2,115画素(PPI)という高い解像度を実現しました。将来的には、高解像度の小型ディスプレイや、軽量・薄型の電子機器などへの応用が期待されます。
参考文献:L. Mu et al., “OLED Display with High Resolution Fabricated by Electrohydrodynamic Printing,” SID Symposium Digest of Technical Papers, 51(1), 485–488 (2020).
本研究では、スーパーインクジェット技術を用いて、フルカラーのマイクロLEDディスプレイに向けた発光材料の微細な構造を作製しました。赤・緑・青の光を生み出すペロブスカイトナノ結晶を含むインクを印刷し、立体的な柱状構造を規則的に並べることで、色を表示するための構造を形成しました。
この技術の特長は、発光材料を必要な場所に高い精度で印刷し、立体的な形状に作り込める点にあります。研究では、ポリスチレンという樹脂をインクに加えることで、発光の明るさや環境に対する安定性を高めました。また、1インチあたり2,500画素を超える高い空間解像度を持つ、フルカラーの立体ナノ結晶配列の作製に成功しました。さらに、硬い基板だけでなく、柔軟な基板にも対応できることが示されています。将来的には、スマートグラスや小型ディスプレイ、次世代の高精細な映像表示装置などへの応用が期待されます。
参考文献:Y. Chen et al., “Electrohydrodynamic Inkjet Printing of Three-Dimensional Perovskite Nanocrystal Arrays for Full-Color Micro-LED Displays,” ACS Applied Materials & Interfaces, 16(19), 24908–24919 (2024).

本研究では、スーパーインクジェット印刷技術を用いて、紙のような薄い膜の上で検査を自動的に進められる分析デバイスを開発しました。ニトロセルロース膜と呼ばれる液体を吸収しやすい材料に、インクジェット印刷で液体の流れを制御する壁や通路を形成しました。これにより、検査に必要な試薬が決められた順番で検出部分に届く仕組みを実現しました。
この技術の特長は、検査する試料を一度加えるだけで、複数の反応工程を自動的に進められる点にあります。従来の検査では、試薬を加えたり洗浄したりする操作を何度も行う必要がありましたが、本デバイスでは膜の中を液体が進む時間や経路を印刷パターンによって制御することで、操作を簡略化しました。また、試薬の使用量を減らし、検査時間の短縮にもつなげました。実際に、妊娠に関連するホルモンであるhCGを尿から検出する実験に成功しました。将来的には、妊娠検査や感染症検査、医療現場や自宅で手軽に行う検査などへの応用が期待されます。
参考文献:A. Apilux et al., “Development of automated paper-based devices for sequential multistep sandwich enzyme-linked immunosorbent assays using inkjet printing,” Lab on a Chip, 13(1), 126–135 (2013).
本研究では、スーパーインクジェット技術を応用して、細胞のように生体分子を閉じ込められる、非常に小さな液滴を大量に作製する技術を開発しました。電気の力で液体を細かく分裂させ、油の中に水の微小な液滴を生成することで、生体分子が反応するための小さな空間を作り出しました。
この技術の特長は、1フェムトリットル(1兆分の1マイクロリットル)よりも小さな液滴を、毎秒10万個以上という高速で生成できる点にあります。作製した液滴の中に、タンパク質を合成するための材料を閉じ込め、液滴内で蛍光タンパク質を合成できることも実証しました。液滴を小さくすることで、少量の試薬で多くの反応を並行して進められるため、効率的な実験につながります。将来的には、創薬研究やタンパク質の機能解析、人工細胞の研究などへの応用が期待されます。
参考文献:B. Sharma et al., “A bulk sub-femtoliter in vitro compartmentalization system using super-fine electrosprays,” Scientific Reports, 6, 26257 (2016).
本研究では、スーパーインクジェット印刷技術を用いて、細胞に電気を流すための小型の櫛形電極を作製しました。この電極を使い、短い電気パルスを細胞に与えることで、細胞膜に回復できない損傷を与える「不可逆電気穿孔」という技術を検討しました。
この技術の特長は、櫛形の電極を細かく設計することで、従来よりも低い電圧で細胞を破壊できる点にあります。研究では、銅箔を貼り付けたポリイミドフィルムに微細なパターンを印刷し、不要な部分をエッチングして電極を作製しました。この電極を用いた実験では、わずか20 Vの電圧で、組織を模した試料の表面から深さ400マイクロメートルまで細胞を破壊できることが確認されました。。将来的には、皮膚や消化管の表面にある腫瘍などを対象とした、低侵襲な治療技術への応用が期待されます。なお、報告された結果は組織を模した試料での実験に基づくものであり、臨床での有効性が確認されたことを意味するものではありません。
参考文献:K. Kurata, S. Yoshimatsu, and H. Takamatsu, “Low-Voltage Irreversible Electroporation Using a Comb-Shaped Contact Electrode,” IEEE Transactions on Biomedical Engineering, 67(2), 420–427 (2020).
本研究では、分子同士の引き合う力を利用して、強度が高く、自然環境中で分解しやすい新しいプラスチックを開発しました。水中で複数の分子を組み合わせ、分子同士が網目状につながった構造を形成することで、丈夫なプラスチックを作製しました。
丈夫でありながら環境中で分解しやすいプラスチックを実現する、新しい材料をスーパーインクジェットで塗布を行い、3D構造体を作成しました。将来的には、環境負荷の少ない包装材料や日用品、さらには3Dプリンターで作製する部品などへの応用が期待されます。
参考文献:Yiren Cheng, Eiji Hirano, Hao Wang, Motonobu Kuwayama, E. W. Meijer, Hubiao Huang, and Takuzo Aida, “Mechanically strong yet metabolizable supramolecular plastics by desalting upon phase separation,” Science, 386(6724), 875–881 (2024).

本研究では、スーパーインクジェットについて、数値シミュレーションと機械学習を組み合わせ、印刷条件を最適化する手法を開発しました。インクの液滴がどのように形成され、基板に付着するかをコンピューター上で再現し、その結果を機械学習で分析することで、目的の大きさの液滴を形成するための条件を予測します。
この技術の特長は、従来は試行錯誤を繰り返して決めていた印刷条件を、データに基づいて効率よく決定できる点にあります。本研究では、912件のシミュレーションデータを用いて予測モデルを構築し、人工ニューラルネットワークと遺伝的アルゴリズムを組み合わせて、液滴の大きさを制御する条件を探索しました。実際のスーパーインクジェット装置を用いた検証では、液滴の84.21%を目標サイズの±5%以内に収めることに成功しました。将来的には、電子回路や微小センサーなどの高精細な印刷製造において、開発時間の短縮や製造品質の向上につながることが期待されます。
参考文献:D. Xu et al., “Parameter optimization of electrohydrodynamic inkjet printing based on numerical simulation and machine learning,” Engineering Research Express, 7(2), 025235 (2025).





















